倫理綱領

日本抱っこ法協会 上級認定者 倫理綱領

前文
 人は皆、人と人との健全なつながりの中で育ちあい、人間としての尊厳を維持し、健康で幸福であることを願っている。日本抱っこ法協会(以下、本協会とする)は、親子のつながりがその願いの根幹を支えるものと考え、会員各自が親子の育ちあう関係を支える社会の一員として、個人的な範囲を超えて、親子とそれを包括する社会に対して大いに貢献していくことを目指す。

 本協会は、現代の子育てが迷路に迷い込んでいるのは、親の無知や力量の無さ、育てにくい子どもが増えたせいではなく、人と人とのつながりの希薄さから始まった個人主義の世の中、その中で孤独に頑張るしかない親たち、自分の気持ちとのつながりを絶たざるを得ない社会であることが主要な原因だと考える。また、特定の親子だけが迷路に入り込んでいるのではなく、社会全体がすっぽりと迷路の中でもがいているのかもしれない…と、自らもその一員であるという広い視野から社会を捉える。そこで、個人的な範囲での考えや経験を超えて、本来人々が願ってやまないつながりや育ちあう関係を社会全体で取り戻していくことが、この迷路から抜け出すのに必要なことと考えている。よって、本協会は、親子の育ちあう関係を支える社会の在り方を追求し、それに基づいた考えを広く普及させ、日本中のすべての親子が幸せな子育てができるよう、常に、援助に必要な知識・技術についての研究・実践・提供を惜しまない。
 この志を共有する者として、本協会が上級者と認定する援助者(以下、援助者とする)は、援助者として関わる対象者に、常に最善の自分を提供するように努めることが求められる。
 最善の自分とは「教える者」という姿勢ではなく、「分かち合う者」として存在することをいう。援助者個人が行う相談援助や講座、集いなど(以下、援助活動とする)のすべてを、同行者として共有するという姿勢で提供するとき、それは、人と人とが真につながる時間を提供し、人間には誰しも備わっている幸せに生きるための叡智の想起を助けるものになるはずである。それは提供する者と受ける者というような個人の両極的立場を越えて、お互いに気づき・成長・受容・変容・癒しが起きるという、双方に最善のことが起きる可能性がある。それこそが、援助活動の目的のひとつであると心得る。また、このように援助者は自らが援助活動を通して成長し続け、未来に向かって常に、自身が行う援助活動をよりよいものにしていくことを心がける。
 
 本協会の『上級認定者倫理綱領』は、認定者が、実践を行う援助活動のあらゆる場を対象とした行動指針であり、自己の実践を振り返る際の基盤を提供するものである。また、親子の育ちあう関係の援助の実践について、各援助者自身が引き受ける責任の範囲を社会に対して明示するものである。なお、公認ホルダー認定者はさらに、認定時に配布する『公認ホルダー制について』を精読の上、その行動指針とすること。

第1条 援助活動に対する責任
 援助者は、援助活動を計画・構成し、自らの活動の及ぼす結果に責任を持つ。また、抱っこ法による援助活動を行う者としての能力と資質を身につけなければならず、その責任を全うするため、たゆまず研鑽を積み、能力の向上に努める。

(1)援助者は、援助活動のすべてにおいて、自己の判断を損なう危険性あるいは対象者の利益が損なわれる可能性を考慮し、対象者との間でビジネス関係や性関係のような二重関係を結ばないこと。
(2)抱っこ法の援助という名のもとに、医療行為および医療類似行為を行ったり、それと誤解されるような表現をしないこと。また、宗教やスピリチュアルと混在させたサービスを提供しないこと。
(3)援助者として自身の知識・技術の範囲と限界について、常に深い理解と自覚を持ち、その範囲内において援助活動を行うこと。したがって相談援助の際に、自身の経験や能力などから判断して対応範囲を超えるものについては、対象者(未成年の場合は保護者)の同意を得て、適切な先輩援助者・専門機関等に協力を求めること。
(4)個人または本協会以外の団体等で主催する「援助者養成」のための講座等の営利活動の参画に際しては、受講者に本協会のプログラムであると誤解を生じさせないようにすること。
(5)抱っこ法援助者を名のる時は、認定資格のレベルを明確にすること。
(6)援助者としての知識・技術を研鑽し、高度の技能水準を保つように努めること。そのために、常に学ぶ姿勢を維持し、新たな情報を吸収し、自己研鑽に努めるとともに、研修やスーパーヴィジョンを受ける責務を自覚すること。
(7)研修生等に援助活動を任せるときは、綿密なスーパーヴィジョンを行うなどして、経験の浅い者が行う活動内容についての責任が自分自身にあると自覚すること。
  

第2条 守秘義務
 援助者は、個人のプライバシー権を尊重し、活動上知り得た対象者の個人情報を、正当な理由なく他に漏らさない。

(1)援助者は、活動上知り得た対象者および関係者の個人情報・相談内容に関しては、細心の注意をもってその秘密保持に努める。公表の必要がある場合は、対象者あるいは他の人の生命に危険が及ぶ等、緊急な事態にあると判断される時以外は、必ず必要な匿名化を行うとともに、対象者(未成年の場合は保護者)の承諾を得ること。
(2)ホームページやブログ、ツイッター、SNS等には、対象者(未成年の場合は保護者)の承諾がない限り、個人情報を掲載しない。
(3)グループワーク等の際には、メンバーの守秘について必ず事前に伝えること。
(4)会員名簿や参加者名簿等、援助活動の際に知り得た個人情報を、他の目的に使用しない。
(5)援助活動にカメラ撮影(静止画・動画とも)が必要な場合は、必ず対象者(未成年の場合は保護者)に、目的や使用範囲、保存など主旨を説明し承諾を得ること。
(6)第2条、守秘義務は援助者の資格失効後も有効に存続する。


第3条 公開、宣伝等
 援助者は、援助活動についての適切な情報を提供する。

(1)援助者は、事実に反することや対象者に過剰な期待を持たせるようなことを宣伝したり広告したりしないよう努める。
(2)援助者は、公の場で意見を公開する場合には、公開者の権威や公開内容について誇張がないようにし、公正を期すること。特に、商業的な宣伝や広告の場合には、その社会的影響について責任が持てるものに限ること。
(3)メディア出演または雑誌等への執筆においては、対象者および関係者に対する守秘義務はもちろんのこと、人権と尊厳を傷つけることがないよう、細心の注意を払うこと。
           

第4条  倫理の遵守義務
 援助者は本倫理綱領を遵守する義務を負い、自己のみならず他援助者との相互啓発に努め、援助者全体としての高い倫理基準を維持するよう努める。

(1)援助者は、本倫理綱領を十分に理解し、本協会の志や信用を損ねる行為がないよう相互の間で常に注意すること。そのために必要な場合は、本部に連絡・相談すること。
(2)援助者が本倫理綱領に反する行動を行ったときには、理事会の調査の結果、除名を含む罰則措置の対象となる。その処分について、理事会または会長が適当と認める媒体を通じて公表できる。


第5条 倫理綱領の改訂
 本協会は、必要と判断される場合、理事会の議決を経て、本規定を変更することがある。

         制定:平成 30年 7月 1日